転造


転造とは強い力を加えて素材を変形させる塑性加工の一つで、棒状の加工素材を回転させながら、転造ダイスと呼ばれる工具により成形する方法。転造は、おねじの加工用に開発された加工方法で、転造加工において、現在でも最も一般的に利用されているのはおねじ加工である。他には、スプライン、セレーション、ウォーム等のような回転対称体である機械要素部品の加工に用いられることもある。

切削との比較​
メリット ①生産速度は切削加工より5~20倍速い。
②製品の精度、仕上げ面、強さに優れている(切削加工より1.5倍強い)。
③材料のムダが出ない、ロスが少ない
④消費電力が少ない、ゴミを出さない、低騒音など環境にやさしい
デメリット ①ダイス代の初期投資が高い
②部品の制度管理が難しい
③小口には向かない

転造加工の種類
平ダイス方式 工具は板状で、平ダイス、板ダイス、またはラックダイスと呼ばれています。一般的な平ダイス転造盤の基本原理は右図に示してあります。一対のダイスのうち一方を固定したまま、他方を平行方向に往復運動させることで加工を行います。ワークは一端から挿入されて他方で排出されます。その間に加工が完了するため。加工面が限定されることになります。また、ダイス間の距離は加工中に変更できません。特徴としては、高い生産性を持ちますが、加工の応用性には欠けます。主な用途として、汎用ねじの大量生産に用いられています。
丸ダイス方式 工具は円筒状で、丸ダイス、またはローラーダイスと呼ばれています。同一形状の2個または3個のダイスを用いそれらを同一方向へ、同じ速度で回転させながら距離を狭めていく方法で加工を行います。ダイスが回転することにより加工面を無限延長面として使用できることと、ダイス間の距離を自由に変更できることが特徴として挙げられ、加工の応用性に優れています。ねじ転造以外の部品加工にも多く用いられています。
プラネタリー方式 アーチ型のセグメントダイスと丸ダイスからなり、セグメントダイスを固定し丸ダイスを回転させることでねじ山を成形します。3種類の転造のうち最も高い生産性をもち、大量生産の現場で使用されています。 主にボルトやCAPに使用されます。
 
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